コブラ効果と飛行機の脱炭素の話3

突然ですけど、みなさんは

コブラ効果

という言葉をご存知ですか?
コブラ効果とは

問題を解決しようとした行動が、全くの逆効果を生んでしまった事例

を意味する言葉です。
「コブラ効果」は、インドにおいて起こった出来事がその名前の由来になっています。
 
当時イギリスの植民地だったインドにおいて、猛毒を持つコブラがたくさん生息することが悩みの種でした。
そこでインドを統治していたインド総督府は

コブラの死骸買い取り

という政策を始めたのです。
コブラを捕まえればお金が貰えるのですから、みんなは大喜び。
せっせとコブラを捕まえては、役所にもっていき報酬をもらう人がたくさん現れました。
インド総督府は「これで危険なコブラも減るだろう」と安心していましたが、人間は賢い生き物です。
コブラを捕まえにいくのではなく、逆に

「コブラを繁殖させたら大金持ちになれんじゃね?」

と、みんなが続々とコブラの飼育を始めてしまったのです。
それを見たインド総督府はこの政策の間違いに気付き、コブラ買い取りを停止しました。
それを聞いた国民は

「お金にならないならコブラなんかいらんわ」

と繁殖していたコブラを野に放ったために、逆に前よりコブラの数が増えてしまったという落語の様なオチになったのでした。

このようなコブラ効果を生んだ政策は現在でもたくさん存在します。
今日は世界中で推進されている「脱炭素政策」で起こっているコブラ効果についてご紹介します。

各業界で脱炭素への取り組みが行われていますが、航空業界もそのひとつです。
国際航空部門からの二酸化炭素排出量は、世界全体の排出量の約2%を占めるとされ、世界経済の発展に伴い年々増加傾向にある航空業界の脱炭素は最優先課題とされてきました。
この問題に取り組むため、国際民間航空機関(ICAO)は「CORSIA(国際民間航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム)」を採択しました。
CORSIAは、国際民間航空からのCO2純排出量を「2020年以降増加させない」とし、また2050年までにはCO2排出量を2005年のレベルから50%削減することを目指すといった内容です。

コブラ効果と飛行機の脱炭素の話

2009年から話し合われ、その後の2016年に採択されたこの「CORSIA」ですが、国際航空業界のCO2排出量推移を調べると興味深いデータが確認できます。
2020年に全く予期しなかったコロナウイルスのパンデミックがあったため、国際航空部門は思わぬ形で脱炭素する結果となりましたが、それ以前の

2013年から2018年の間の航空業界のCO2排出量は32%増加

しているというのです。

コブラ効果と飛行機の脱炭素の話2

なぜ脱炭素を掲げる航空業界のCO2排出量が激増したのか?
それは

CO2排出量を増やしておけば「2020年以降増加させない」がクリアしやすいから

です。

「脱炭素」のために「二酸化炭素が増えた」

これをコブラ効果と言わずになんというのでしょう。
これだけではありません。

この「CORSIA」は国際便を対象としているため、国内便は対象外となります。
そのため国内の脱炭素政策が許す限り、CO2排出量の多い古い航空機は必然的に国内線に回されています。
また、今回のコロナ感染拡大の影響で旅客重要の低減もあり、CORSIA加盟の航空会社では古い航空機が多数売却されました。
しかしその古い航空機は、CORSIAに加盟していない航空会社に売却されているので、世界的に見れば脱炭素には貢献していません。

このように政策や規制が、逆に事態を悪化させることは往々にしてあります。
だからこそ、昨日の記事でも書いたように規制に対する定量的な影響分析評価が必要なのです。

逆効果になっている

意味が無い

費用対効果が悪すぎる

そんな規制は無くすのが当たり前。

ということで

税金下げろ、規制をなくせ

今日はこの辺で。

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