最低賃金引き上げは「雇用削減法」だ

税金下げろ、規制をなくせ

ということで、今日はこちらのニュースから。

最低賃金 28円引き上げ 全国平均時給930円の目安 厚労省審議会

厚生労働省の審議会は今年度の最低賃金について全国平均で時給902円から28円引き上げ、時給930円とする目安を示しました。
引き上げ額は最低賃金が時給で示されるようになった2002年度以降で最も大きくなっています。

最低賃金引き上げは良く耳にするは話題ですよね。
公約に掲げる政党も少なくありません。
最低賃金引き上げはみんなの時給が上がることですから、とても良いやり方に感じます。
でも実際は

最低賃金引き上げは「雇用削減法」

です。
 
それは南アフリカで起こった出来事を見ればわかります。
南アフリカにまだアパルトヘイトがなかった時代、最低賃金などの労働者保護の法律は整備されていませんでした。
そのため多くの黒人は、白人より安いお給料で働くのが当たり前の社会でした。
そんな時、白人がこう言い出しました。

「最低賃金を決めようぜ」

そして、白人労働者の労働組合が中心になって最低賃金法を政府に働きかけ、ロビー活動の結果、最低賃金法は成立しました。

こう聞くと安い給料で働く黒人の待遇改善を願い、最低賃金法が作られたように思うかもしれません。
でも事実は違います。

最低賃金の法律が無かった時代の黒人の人達は、白人より安い給料で働くことを自ら申し出てました。
十分な教育が受けられなかった黒人の人達は、白人より安い賃金をメリットとしてアピールし、それによって職を得てお金を稼いでいたのです。
そのためその時代の黒人の人達は、仕事を得るのに苦労はしていませんでした。
また雇用主は、黒人の人達を雇用すれば人件費が抑えられるので、好んで黒人を雇用していました。
つまりその時代は雇用側にとって「黒人差別をする理由」がなかったのです。

しかし最低賃金法が出来、黒人の人達は仕事を失いました。

そしてなにより、それが白人労働者による労働組合の目的でした。
自分達の職を守るために、白人より安い給料で働く黒人労働者を最低賃金法によって排除したのです。
ロビー活動を受けた南アフリカ経済賃金委員会も

「最低賃金法とは、黒人を雇えなくするほど最低賃金を高くすることである」

と隠すことなくコメントしているのが残っています。

このようなことが起こる市場原理は非常に単純です。
最低賃金が高くなると、雇用主は賃金に見合わない生産性の低い労働者を減らすしかありません。
だから政府は、白人労働者の雇用を守るために黒人の平均賃金よりも高い最低賃金を人為的に設定し、わざと黒人の失業を生み出し、労働者市場から排除したのです。
経済学者のウィリアム・ハロルド・ハットは「アパルトヘイト時代の人種差別の主な原因の1つとして最低賃金法があった」と指摘し批判しています。
このように最低賃金引き上げは、意図的に経済弱者を労働市場から排除する「雇用削減法」として使われてきたのです。

さて、このような話は現代でもあります。
2017年のロンドンでは、タクシー運転手組合が、Uberがドライバーに最低賃金を支払い、有給休暇を提供しない限り、Uberの免許更新を拒否するよう地方自治体に働きかけていました。
当然それはUberドライバーの待遇改善を求めているのではありません。
タクシーの競合相手であるライドシェアサービスを展開するUberを市場から追い出すためです。
Uberに最低賃金を押しつけることで、ドライバーを雇うには高すぎてビジネスにならないようにしてしまえば、タクシーが市場を独占出来るからです。
ちなみにUberドライバーからはそのような要求は一切出ていません。
これでロンドンからUberが追い出されれば、その被害を受けるのはUberで働く人だけではありません。
安くて便利なライドシェアサービスを使えなくなった一般市民もしわ寄せを受けてしまいます。

では現代の日本において、前述のニュースのように最低賃金を引き上げると誰が利益を得るのでしょう?

それは大企業です。

大企業は最低賃金が引き上げられてもそれを飲み込めるだけの体力があります。
しかし新しいサービスやビジネスを生みだそうとする新興ベンチャー企業はそうはいきません。
最低賃金が上がれば上がるほど、ベンチャー企業は雇用に行き詰まり市場から排除されるのです。
最低賃金引き上げによって大企業もコストは上昇しますが、新規参入を排除でき、今の市場を独占できるメリットは、そのコストを払っても十分なお釣りがくるというわけです。

最低賃金も「競争から特定業界を守る規制」なのです。

最低賃金引き上げは、政官と紐付き業界とが結託して生まれる典型的な「規制による縁故資本主義政策」ということです。
最低賃金引き上げは耳触りが良いので、アルバイトなどをしている人は自分の給料が確実に増えると錯覚します。
しかし、ライバルを排除するために用いるほど、必ず失業者を増やす政策です。
最低賃金引き上げは利権を守るための「雇用削減法」なのですから、利権側にいない人の仕事が来年もあるとは限りません。

さて、最後に最低賃金法のない国について書いておきましょう。
アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、オーストリア、スイスには最低賃金法が存在しません。
これらの国に住む人々は安い給料でこき使われ貧困に喘いでいるのでしょうか?
そうではありません。
2019年度の各国の平均給与を見てみましょう。(カッコ内は平均給与額世界ランキングの順位)

アイスランド 738万円(8位)
ノルウェー 878万円(5位)
スウェーデン 598万円(13位)
フィンランド 519万円(18位)
デンマーク 654万円(10位)
オーストリア 535万円(17位)
スイス 908万円(4位)

※参考:日本 449万円(22位)

全ての国の国民が世界第三位の経済大国である日本人よりも裕福なのです。
このように最低賃金が無いと、また引き上げないと国民が豊かになれないという考えが誤りであることは、これらの国々が証明しています。

豊かになる方法は経済成長です。
そして自由こそが経済成長を生みだすこ方法である事もデータで証明されています。



自由こそが一番大切なのです。
若い世代の未来を想うならあなたが大企業の役員でもない限り、最低賃金引き上げには猛反対し、自由主義を求めるべきだと私は思います。

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引用元:https://fee.org/articles/taxi-unions-are-using-apartheid-era-tactics-to-crush-uber/